中学生の亜美は文化祭からの帰り道、歩道橋で見知らぬ中年男(渡辺謙)に呼び止められる。男は、文化祭でダンスのステージに立った亜美を見たといい、「キレイだった。いちばんだった」と称賛の言葉を贈り、立ち去っていく。思いがけない褒め言葉に亜美は有頂天になるが、その話を聞いた母・晶江が心配のあまり、自宅に警察を呼ぶ騒ぎにまでなってしまった。 数日後、亜美は偶然、街で男を見かけ、彼が小さなベーカリー『ここだけのパン屋』で働いていることを知る。その男、木崎秀次は半年間ほど複雑骨折で入院していたという話で、知人の誘いを受けて故郷からこの町に移住し、社会復帰のリハビリとして無給で働いているようだった。母が疑うほど、木崎のことを悪い人間には思えない亜美。会話を重ねるうち、次第に秀次と打ち解けていく。 そんなある日、亜美は『ここだけのパン屋』主人・上野弘志から、秀次の本当...