東京。居酒屋の連なる駅前を過ぎ、狭い脇道を通り抜け、高層ビルが建ち並ぶ街のアパートに暮らす沼越幸(26)。トレードマークの三つ編みで幼く見える幸は、街にあるマンションギャラリーに通うのが休日の日課である。彼女を迎える持井不動産のマンションギャラリーでは、お客様の案内を務める 伊達政一(35)、受付の女性・要理子(39)、阿久津(23)、新人研修中の奥田くん(22)が働いている。冷やかしとは思えないは思えないほど真剣にモデルルームを吟味し、プロ顔負けの質問をする幸。「地上の楽園」を求めて集うカップルや家族連れに紛れて1人で淡々と見学に通う幸の存在は彼らの中の密かなミステリーとなっていた。なぜ、彼女はひとりでマンションを買おうとしているのか・・・・・・。実は、家族の集う「家」を突然失った過去があったのだ。